自分本当にそこに存在しているのかわからなかった。 しばらく静かに立ち尽くした。 いや、立ち尽くしたという表現があっているのだろうか。 僕には少し宙に浮いているように感じた。 人工物の声は遠のき 夏を文字通り謳歌する蝉の必死な泣き声だけが 僕の心臓の鼓動に反応して耳に届いているようだった。